エゴの奴隷
Author山本 美穂子
- 公開日 2024年3月17日 15時27分
久しぶりにカウンセラー名鑑にブログを...と思って開いてみたら
なんと! 前回から3ヶ月も経ってしまっていました。。
毎日目まぐるしく本当に時間が取れないのですが、
今日は、そんな〈時間〉からいかに自由になるかについて、お話してみたいと思います。
私はわんにゃん合わせて4匹と暮らしていますが、
その中でも一番付き合いの長い長老ななちゃんは、体内時計がものすごく正確です。
彼女は夕方5時になると、
わん!(ごはんですよ!)
わんわん!!(ごはんの時間ですよ!!)
わんわんわん!!!(あの!!!何かお忘れでは?ごはんの時間ですよ!!!!)
と、吠え始めます。
ごはんが出てくるまで、何時間でも吠え続けるのです。
これが不思議なことに、外が暗くなったから吠え出すとかそういうことではなく、
夏だろうと冬だろうと夕方5時、なのです。
つまり彼女はもうおばあちゃん犬であるにもかかわらず、体内時計がものすご〜〜〜く正確なのです。
「時間の感覚」は、エゴの担当領域です。
エゴとは、私たちが生まれてから今までに体験したすべてからできていますので、つまりは非常に個人的な体験の総体なのですが、
にもかかわらず、ヒトを統率し操りやすくするために、「時間」というものの感覚が統合されたわけです。
それがいわゆる「グリニッジ標準時」で、この「時間」に則って世界中が同じタイミングで動いているのです。
ここで、人の動きの進み方とか方向性が一つの方向にピタッと固定化されている感じを想像してみてください。
つい先日もありましたが、毎年、台風や大雪などの自然災害で交通機関が麻痺し、その結果物流もストップして日本中が大混乱に陥る日がありますよね。
ちょうど止まってしまった電車や新幹線の中にいた方達はひどいストレスにさらされたことと思いますが、このストレスって、一体何のストレスだと思いますか?
これは、「普通ならこの電車は何時発で何時着」「ここからここまでは普通何時間で行けるはず」といったような、エゴの領域で「直線的な時間」で考えていたことが思うように進まなかったことへのストレスなのです。
時間が乱れる・乱されるという事態に遭遇すると人は物凄い混乱とストレスを感じます。(あなたもそうだと思います)
ゆえに、車内にいる自分以外の人たちのストレスにもお互いに影響を受け合い、さらに疲れるのではないかと推察します。
先ほど書いたように、エゴの領域とはとても個人的なものです。
けれども私たちは「時間」という世界標準の規格を信じ、それに合わせているため、それによって一つの現象(例えば大雪のため電車内に閉じ込められて身動きが取れない)に関わる全員が同じようにストレスを感じるという事象が起こるのです。
これは、外側から来る時間の感覚の縛り、バウンダリーで言えば時間的バウンダリーです。
この理解を踏まえた上で、話をななちゃんに戻しますね。
「5時になった、ごはんをよこせ」という彼女の体内時計もまた、エゴの領域です。
ななちゃんは、「自分が今本当にお腹が空いているのか?どうなのか?」という観点からごはんを要求してはいないのです。
これまでの暮らしの中で、「大体この辺りの時間でご飯がもらえるはず」というエゴ的理解によって、その反応が固定化されている状態です。
つまり、「体内時計」というのは私たちの本当の感覚に基づいているものではないということです。
そんな「体内時計」に盲目的に従うのではなく、
「今自分は本当にどう感じているのか?」「お腹が本当に空いているのか?」「今自分が欲しているものは何なのか?」
そんな自分自身の感覚から動けるようになった時、
強く影響を与えられている「時間」という縛りから少しラクになることができます。
そして、現代を生きる私たちにとって、時間のバウンダリーは常に優先順位が上の方にあります。
しかしながら、その「時間」---グリニッジ天文台が示す時間---にこんなにも自分たちが縛られていることを気づいている人はほとんどいないでしょう。
「○時になったからご飯を食べよう」「○時になったから寝よう」という感覚の中で生きていると、
その時間になってもご飯が食べられなかったり眠れなかったりすると、食べられない自分、眠れない自分を強く責め始めます。
さらにそれが続くと、「どうして食べられないの?」「どうして眠れないの?」とエゴの声に拍車がかかり、精神的に追い込まれてしまうようになっていきます。
外の時間に自分を合わせようとすればするほど、私たちはエゴの奴隷になっていきます。
そもそもエゴには、私たちが生きていくために必要な情報を記憶するという機能もあるわけですから、
道具としてエゴを使えばいいのに、エゴの奴隷になってエゴに使われているから人生がうまくいかないのです!
残念なことに、ななちゃんは、体内時計から離れられません。
でも私たち人間は、わんにゃんよりも高度に考えることのできる知性を持っているので、エゴの叫ぶ「時間」という縛りから自由になれる可能性があるのです。
私は、「お腹が空かないと食べない」を実践しています。
体内時計ではなく、「○時になったから」ではなく、体の欲する感覚に意識を向けて、「本当にお腹が空いた」ことを体感してから食べるようにしているのです。
我が家ではパートナーがご飯作りの担当で、しかも彼の作るご飯はとっても美味しいのですが、彼が作ってくれるタイミングにだけ合わせて食べようとすると、私の感覚に合わないこともよくあります。
ですのでそんなときには、「ごめんね、今お腹が空いていないの」と伝えるのですが、彼はそれを受け入れてくれます。
そんな彼の態度に私は彼からの敬意を感じますし、“自由”を与えてもらっていることに感謝しています。
ただ、私たちにしみついている時間の縛りから逃れるというのは大変なことです。
ここから逃れようと強く決めたのは、時間の縛りを視認したときのことです。
ある東京出張の時、駅で見た光景です。
ホームに電車が入ってきて、たくさんの人が降りてきて、ホームに整列していた別の人たちが電車に吸い込まれていく。そしてまた数分後には別の電車が入ってきて、たくさんの人が降りてきて、ホームに整列していた人が電車の中に吸い込まれていく。
「何時何分の電車に乗らなきゃ!」と走ってくる人、乗り遅れて「チッ」と苛立っている人、「よかった!乗れた!」と喜んでいる人。
完全にみんな、時間の奴隷でした。
私は心底ゾッとして、ここから自由にならなければ、と思ったのです。
以降、私は外からの「時間」というバウンダリーを超えることを意識的に実践しています。
今ではかなり「時間」の縛りから離れられていて、自分の体の感覚に沿って眠り、起き、食べています。(これは、アルツハイマーとパーキンソンの予防にもなります!)
飛行機はさすがに事前にチケットを取りますが、新幹線の場合、チケットは取りません。
駅に着いて、そのときに一番早く乗れるものに乗っています。
また、ふと思い立って宿泊場所をいつもとは違うところにしたり、ホテルを出る時間をなんとなく少し早めにしたりと、
「いつもここに泊まるから」「いつも○時にホテルを出るから」から動かないことを意識したのが全てうまく運び、日本中の交通機関が乱れて大混乱になった時にも、私は巻き込まれることなく全てスムーズに動くことができました。
エゴの奴隷にならないこと。外からの「時間」というバウンダリーを超えること。
物事が流れよくスムーズに進むコツです。
あなたもぜひ、エゴの奴隷、外からの時間の奴隷から自分を解放するチャレンジを、意識的にしてみてくださいね。